移植手術を受けた

投稿者: | 2017年2月11日

お久しぶりです。
さくらんぼです。生きてはいますが色々ありました。
タイトルの通りで移植手術を受けたりする程度に色々ありました。
あまり事例も多くはない病気で移植の事例というのも多くはないと思うので
病名の啓蒙や知識などの共有のために色々まとめておきます。

自分が罹っている病気について

まず自分は中学生のころから「円錐角膜」という病気です。これは、名前の通り角膜の病気なのですが、角膜が尖っていってしまい物が見えなくなる病気です。詳細は、wikipediaなどが詳しいと思います。

この病気になると物を正しく見ることができなくなり酷い乱視になります。
眼をカメラとして考えると、レンズが尖るだけなので特にCCDなどに異常はないので失明はしません。例えば、小さな1点の明かりがあったとき、この病気に掛かっている人は20個程度に見えるような感じになります。

この病気に関して現代の医学はやることがほとんどありません。

  • 進行性であるが原因が不明である
  • 治療方法もない

これが現状です。一応最近いくつかの対処療法は考案されているようですが決定的な方法はないのが現状のようです。

一応コンタクトで矯正はある程度できますが、進行性で人によって進行度合いが進んでしまうとコンタクトの矯正もできなくなってしまいます。この場合、角膜を交換するしか手段がなくなります。つまり角膜移植するしか手がなくなります。

突然の悪化

3年ほど前から左目の進行が一期に進み、まず上記のwikipediaにちらっと書いてありますが「角膜水腫」にまずなりました。
この症状は、角膜のデスメ膜なる膜が破れてしまって、目の内側の液体が視界に入ってしまい視界がほとんど0になるのですが、突然発症するので寝て起きたら視界が真っ白になっていて死ぬかと思いました。

3か月くらいでこの角膜水腫はいったん回復したのですが、その間、片目で生活することとなり色々難しい日々だった覚えがあります。さらに、その後6か月くらいで一気に円錐角膜の進行が進みコンタクトによる強制も一切効かなくなってしまいました。具体的には、矯正視力で0.3くらいしか出なくなってしまいました。

移植の判断

そんな現状に対して、2年前の年末くらいに主治医の先生も「移植するしかない」との判断となったので角膜の移植をすることとなりました。移植手術なのでドナーが必要となりますが、角膜はアメリカからの輸入であれば割と入手が容易なようです。自分の見てもらっている病院ではこちらの希望の日で移植手術を受けることができました。

ちなみに、国内のアイバンクなどの場合は、ドナーが死んだその当日に連絡が来て即日手術となってしまうそうです。これだと、日常生活に支障がありすぎるみたいな仕組みになっています。

移植手術のリスクとしては

  • 感染症に寄る死亡
  • 感染症に寄る失明

などを説明されました。
また、手術をしても視力がどうなるのかは人によって様々であることも説明されました。

移植手術

何か月かの後、いよいよ移植手術となりました。手術は全身麻酔で行いました。これは角膜移植の種類で決まるそうです。自分の場合、「全層角膜移植」という施術になるので全身麻酔による手術となりました。手術時間は3時間くらいだったでしょうか、手術室に入って気が付いたら手術完了していました。

手術は無事成功して、その後、角膜の状態を確認しながら1週間程度で退院となりました。
ただし、以下のような色々な生活上の制約がつけられました。

  • 水などの汚れが眼に入らないように生活すること。入った場合は抗菌剤で目から洗い流すこと
  • 眼に力が入らないように生活すること、具体的には10kg程度の重さの物は持ってはならない
  • 眼に衝撃を与えてはならない。球技、スポーツなどは禁止、サングラスなどの防護するものを常時つけること
  • たばこの煙などの目に刺激になるようなもののそばに行くことの禁止

なお、術後の視力ですが世の中は割と見えるようになっていた覚えがあります。
といっても0.1くらいの視力ですね。

経過観察

1か月くらい毎に病院で検査をする日々となりました。先月は裸眼で0.3程度の視力になっていました。裸眼視力が毎月上がっていく経験はそうそう無いのでちょっと楽しかったです。なお生活上は、手術をした左目は視力0.1~0.3で、手術をしていないほうの右目が矯正しても0.7程度で円錐角膜のままなので光が多重に見えるような状況なので、とても辛い生活です。

そして、今月やっとコンタクトの装用の許可が下りてコンタクトによる矯正を行ったところ、矯正視力で1.2が見えるようになりました。
また、生活上の制約のうち、重いものを持ってもOKという許可ももらえました。
割と健常な人に近づいた気がします。医者曰く、「まだ眼の状況は不安定であるから色々注意せよ」とのことなのでまだまだなのでしょう。

メンタル面について

はっきり言って、ここ3年間くらいのメンタルはひどかったと思います。というか、間違いなく鬱病の診断を貰えたと思います。
眼が見えなくなる可能性があるという恐怖というのは、余命宣告を受けた患者と同程度のインパクトがあるという話を聞いたことがあるのですが、実際その通りだと思います。

おかげで、自殺とか割と身近に感じるようなメンタルでずっと過ごしていました。明らかに、判断力が低下していて、周囲の人には相当厳しく当たっているときがあった気がします。明日世界が終わるような思考をしている状態だったので、未来の話をしても全く現実感を感じなくなっていたような気がします。
コンタクトが入ってちゃんと物が見えることが分かったので大分改善されてきたので、もうしばらくして通院の頻度が下がったら普通のメンタルに戻れる気がします。

あとプログラミングをする気力がほとんどなくなりました。これはプログラミングが積み重ねが必要な作業だからモチベーションが続かないというのが大きかった気がします。なので、手軽に成果が得られる保守とか運用系の遊びばっかりやるようになりました(OpenStackとか…)。これも、そのうち回復すると思います。

感謝

やっと一人で色々できるような状況になったのでひと段落だと思います。
支えてくれた人々にはとても感謝しています。

特に妻の@nekorukiaにはいくら感謝しても足りないです。彼女の献身的なサポートがなければ乗り越えることはできなかったでしょう。ありがとう。

補足

ちなみに、「円錐角膜」という病気の認知度が低いのと、目が見えない人に対する国の支援の仕組みが全くかみ合ってなくて
この病気に関して、国からの支援はほぼ受けることがありません。
移植手術は通常の医療保険が適用されるし医療費控除、限度額認定などされるので経済的に困ることはほとんどないとは思います。
一方で、目が見えないような状況なので例えば障碍者の認定などが貰えたらうれしいと思うことは多々あるのですが、その辺りは厳しいようです。

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